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2016年12月4日日曜日

【話題】80年代ラブコメの金字塔『めぞん一刻』 聖なる酔っぱらいの告白――南信長のマンガ酒(1杯目)

1 名前:砂漠のマスカレード ★@\(^o^)/>:2016/12/04(日) 02:05:18.86 ID:CAP_USER9.net

マンガの中で登場人物たちがうまそうに酒を飲むシーンを見て、「一緒に飲みたい!」と思ったことのある人は少なくないだろう。
『まんが道』のチューダーのように一度は飲んでみたい酒、『あぶさん』の「大虎」のように一度は行ってみたい酒場もある。
酒の嗜好がキャラの特徴となっているケースも多々あるし、酒を酌み交わすことで親子や仲間の絆を深めたり、酔っぱらって大失敗、
酔った勢いで告白(あるいはベッドイン)など、ドラマの小道具としても酒が果たす役割は大きい。

⇒【図2】「草野球対決の打ち上げシーン」6巻P24より&【図3】1巻P179より

 当コラムでは、そんなマンガの中の印象的な"酒のシーン"をピックアップし、そのシーンと作品の魅力について語る。
酒好きな方はもちろん、そうでない方も、酒とマンガのおいしい関係に酔いしれていただきたい。

 記念すべき1杯目は、あの'80年代ラブコメの金字塔だ。

◆【1杯目】高橋留美子『めぞん一刻』◎聖なる酔っぱらいの告白

「1月は正月で酒が飲めるぞ」に始まり、何かと理由をつけて「酒が飲める飲めるぞ 酒が飲めるぞ」と歌い上げる
『日本全国酒飲み音頭』(作詞/岡本圭司・作曲/ベートーベン鈴木・唄/バラクーダ)。
昭和末期ののんべえにとっては聖歌もしくは国歌とでも呼ぶべき1979年末リリースのヒット曲だ。

まさしくこの歌のように、何かというと酒盛りを始め、所構わずどんちゃん騒ぎを繰り広げていたのが高橋留美子『めぞん一刻』の登場人物たちである。
首謀者はだいたい決まっていて、酒豪主婦・一の瀬のおばさん、謎の男・四谷、スナック勤めの朱美の3人だ。

何しろ第1話から早くも宴会が始まる【図1】。名目は、一の瀬のおばさんたちが住む古い下宿屋「一刻館」にやってきた新しい管理人の歓迎会。
その管理人こそ、マンガ史上に燦然と輝く難攻不落のヒロイン・響子さんである(つい「さん」付けしてしまう)。

会場となるのは、同じく「一刻館」に住む浪人生・五代裕作の部屋。四谷たちに勉強の邪魔ばかりされ、
「こんな所にいたらぼくの一生はメチャクチャだ!!」と出ていこうとしたところに現れた響子さんに一目惚れして前言撤回。
明日は模試だというのに自分の部屋でどんちゃん騒ぎされるのを断り切れない優柔不断さが、その後の彼の迷走人生を予感させる(ちなみに翌日の模試は寝過ごして遅刻)。

第3話はクリスマスのエピソード。とくれば当然、宴会である。朱美の勤めるスナック「茶々丸」で開かれるクリスマスパーティ(有料)に誘われて
「遊んでる暇なんかないよ」と断りながら、響子さんが参加すると聞いてまたもコロッと態度を変える五代であった。

そんな彼がどうにかこうにか大学に合格すれば、やはり祝宴を開かないわけにいかない。
商店主チーム対茶々丸チームで草野球対決をすれば、もちろん打ち上げの宴会。いつものように茶々丸に集まり、日の丸の扇子を持って「わははは」と踊り狂う一の瀬さん、
マイペースで飲む四谷、従業員なのに普通に飲んだくれる朱美さん、意外とイケるクチの響子さん……という感じで、とにかく酒盛りシーンがやたらに多いのだ【図2】。

試しに単行本全15巻をチェックしてみたら、確認できる範囲で茶々丸15回、一刻館では少なくとも50回は宴会している(連日連夜の宴会が1コマで表現されてたりする場合もあるので実数はもっと多いはず)。
それ以外にも五代がバイトするビアガーデンや五代が入院した病室、あげくの果ては駅のホームでもどんちゃんやっているのだから、ハタ迷惑も甚だしい。

しかし、やってる本人たちはすこぶる楽しそう。周りにとってはうるさいだけの酔っぱらい集団も、中に入ってしまえばパラダイス。同じアホなら踊らにゃ損――というのが、わがニッポンの伝統だ。
一度でいいからあの宴会に交ざりたい、一の瀬さんの踊りを見たい、何なら朱美さんに絡まれたい、と思うのは私だけではないだろう。

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週刊SPA! 11/17(木) 16:20配信

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2 名前:砂漠のマスカレード ★@\(^o^)/>:2016/12/04(日) 02:06:33.59 ID:CAP_USER9.net

◆伝説の「響子さ~ん 好きじゃあああ」

お人好しで優柔不断な五代は、基本的に巻き込まれ型の被害者ポジションだ。
常日頃から一刻館の面々におもちゃにされ、響子さんといい雰囲気になると必ず邪魔される。
酔っぱらった朱美さんや一の瀬さんのせいで、あらぬ誤解を受けたことも数知れず。

ただし、彼自身も酔った勢いで普段はできない大胆な行動に出ることがある。
その最たる例が、第9話「アルコール・ラブコール」と題されたエピソードだ。

響子さんが実は未亡人と知りショックを受けつつも、好きな気持ちは変わらない五代。コンパでしこたま飲んだ帰り道、一刻館の玄関先にたどり着いたところで
ツレの友人と騒ぎながら「やるっ 大々的に発表するろっ!!」とろれつの回らない口で宣言する。そこで彼は、あらん限りの大声で絶叫するのだ。

「ご町内のみなさまーっ 私こと五代裕作は響子さんが好きでありまーす

何事かと出てきた響子さんも思わずタジタジ。さらに、近所迷惑だからという制止も聞かず第二波発射!

「響子さ~ん 好きじゃあああ」

これぞ伝説の名シーン。現実でも酔った勢いで告白というのはありがちだが、これほど派手なのはそうそうあるまい。良くも悪くも酒の力は恐ろしい。
このあと「さ、お部屋に行きましょ」という響子さんのセリフを都合よく解釈し、いきなりお姫様抱っこ、そのまま自分の部屋に連れ込みふとんに押し倒す五代。
しかし、残念ながら酔いつぶれて眠ってしまう。最初にして最大のチャンスを逃した五代は翌日手痛いしっぺ返しを食うことになるが、それはまあ自業自得というしかない。

同作が始まったのは、奇しくも『日本全国酒飲み音頭』がヒットしていた1980年。
『ビッグコミックスピリッツ』の看板作品として創刊号から'87年まで連載され、大学生を中心に絶大な人気を獲得した
。いろんな誤解やすれ違いで、こじれまくる二人の関係がじれったくも可笑しくて、笑いながらも胸を締めつけられる。

LINEどころかメールも携帯電話もない時代の恋愛模様は、今の若い人から見たら理解しがたい部分もあるかもしれない。
が、人を想う気持ちに変わりはないはず。もつれた糸がほどけて二人を結び付けていく終盤の展開は、何度読んでも号泣だ。

極めつきは、娘かわいさから暴走して酔いつぶれた響子パパを背負った五代のプロポーズシーン。
五代自身も飲んでる状況だが、学生時代の絶叫告白とは対照的な落ち着いた言葉に、5年の時の流れを感じさせる。いつのまにか五代も成長していたのだ。

ラブコメとして、青春ドラマとして、群像劇として、そして酔っぱらいマンガとして、まさにエバーグリーンの名作。
読まずに死んだら人生の損失である。

文/南信長●1964年大阪府生まれ。マンガ解説者。著書に『現代マンガの冒険者たち』『マンガの食卓』『やりすぎマンガ列伝』がある。


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参照元:芸スポニャース

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