- 1 名前:動物園φ ★@\(^o^)/>:2016/11/06(日) 13:01:30.25 ID:CAP_USER9.net
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毎日新聞2016年11月1日 地方版
私の職業は精神科医だが、家族や友人といるときは、ほとんど仕事のことを忘れている。というより、病院を離れると自動的に頭が切り替わる習慣がついているようで、昔の級友との食事会などで突然、「夫がうつ病でこの薬を飲んでいるんだけど」などと相談されても、すぐにその薬が思い出せないことさえある。「え、あなたプロなんでしょ」とあきれられるが、自分としてはそうやって完璧に仕事のことを忘れる時間は、ストレスを減らすためにも必要なのだと考えている。
一方、亡くなった私の父親は自宅に隣接した小さな産婦人科医院の院長で、大げさに言えば24時間、仕事から離れることができなかった。自宅と医院はドア1枚で隔てられているだけなので、居間にようやく戻ってきても、すぐにドアの向こうから「発熱している患者さんがいるので来てください」などと呼ばれる。もちろん父は不平ひとつ言うことなく「お茶を一杯飲んでからすぐ行く」と、母のいれたお茶で急いでのどを潤して、またドアの向こうに戻って行く。おそらく相当なストレスを受け続けていたことだろう。
他にも、お寺の隣に住宅があるお坊さん、礼拝堂の隣に住む牧師さんなども同じ。時間が来たから店じまいというわけにはいかないし、職場を完全に離れることもできない。本人の心身の健康にとっては決して良い生活スタイルとは思えない。
そんなことを考えていたら、ある知人が「私も24時間労働のようなもの」と話してくれた。その人が勤める企業は外資系なので残業時間などは抑えられ、朝も好きな時間にゆっくり出社することもできるのだそうだ。「いいね、うらやましい」と言うと、その人は首を横に振った。「でも結局、どこでも仕事をしていいということは、いつでも仕事をしなさいということなんだよね」。知人はパソコンひとつ抱えて深夜でも休日でも自宅や出先で仕事のメールなどをチェックする、という生活にすっかり疲れきっているのだそうだ。
そうか、職場から離れさえすれば仕事から離れられる、という時代ではないのだ。たとえ職場にいなくてもIT技術の発展により常に仕事に縛られながら暮らしている、という人が増えているとしたら深刻な問題だ。人は一体どうやって「完全にオフ」という時間を作ればよいのだろう。パソコンもスマホも持たずネットもつながらない、という状況を作り出すしかないのか。なんともやっかいな話だ。(精神科医)
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参照元:芸スポニャース
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